平城遷都1300年記念特別事業」ウズベキスタン・日本国際シンポジウム
「ウズベキスタンの古代文明及び仏教―日本文化の源流を尋ねて」
2010年2月15日から18日、開催場所:東洋大学、奈良大学
主催:東洋大学、奈良大学、日本・ウズベキスタン仏教遺跡発掘調査団(加藤九祚団長)
ウズベキスタン共和国科学アカデミー、ウズベキスタン文化・芸術フォーラム基金、駐日ウズベキスタン共和国大使館
後援:外務省、文化庁、平城遷都1300年記念事業協会、奈良県、奈良市
プロモーション活動は、共同通信、毎日新聞、読売新聞、奈良日日新聞、奈良県広報課等、多くのマスメディアによって行なわれた。
参加者:学術界、一般、国会議員、政府機関、地方自治体からの参加者約1200名
奈良で行われたシンポジウムの模様
シンポジウムにおける主要の講師を務めたのは、ウズベキスタン上院議員、ウズベキスタン科学アカデミー会員、そして国家賞受賞者でもあるE.V. ルトヴェラーゼ氏と、ドストリク勲章受章者であり、国立民族学博物館名誉教授でもある考古学者加藤九祚氏。加藤氏はウズベキスタンにおける仏教遺跡発掘調査団の中心人物の一人としても知られている。
ウズベキスタンと日本の著名な考古学者、歴史学者、民族学者と日本の大学との協力の甲斐あり、ウズベキスタンのユニークな古代仏教遺産が初めて日本に紹介される運びとなった。ウズベキスタンはシルクロード文化が日本に伝わる起点となった場所であり、バクトリア、ソグド、ホレズム、フェルガナの古代文明など、世界の文化と宗教の形成に影響をもたらした。
シンポジウムは以下の研究テーマに沿って進められた。
「ウズベキスタンと日本の古代文明における歴史的相互関係」「中央アジアと東アジアの文化と伝統の調和」「現代ウズベキスタンにおける民族間の友好と宗教の共生」「世界の多様な文化の調和」。
研究報告と講演内容は次の通り。
1) 「中央アジアにおける歴史的文明、国家ならびに古代都市」(E.V. ルトヴェラーゼ博士)
2) 「カンピール・テパにおける仏教遺跡(北部バクトリアへの仏教伝播に関して)」(E.V. ルトヴェラーゼ博士)
3) 「ウズベキスタンの古代仏教遺跡発掘」(加藤九祚博士)
4) 「大シルクロード上の古代信仰」(H.S. カラマトフ博士)
5) 「大乗仏教の伝播とその思想的意義について」(竹村牧男 東洋大学学長)
6) 「古代日本とシルクロード」(東野治之 奈良大学文学部教授)
シンポジウムのディスカッションでは、E.V. ルトヴェラーゼ博士と日本の研究者たちによって、仏教文化が開花したクシャン朝時代に残された仏教ならびにゾロアスター教の古文書の比較分析が行われた。クシャン朝は、現代ウズベキスタンの地域に該当する。ウズベキスタンと日本の古代宗教における密接な相互関係を証明するE.V. ルトヴェラーゼ博士の学説を、日本の研究者たちは満場一致で支持した。
シンポジウムの中で、E.V. ルトヴェラーゼ博士と加藤九祚博士による共同作業「中央アジアの文明、国家ならびに文化」の日本語への翻訳、さらに加藤九祚博士の指揮による学術連盟「オクスース」(アムダリヤ)の結成に関しての記者会見が開かれた。
ウズベキスタン・日本の文化友好協会からの代表として、福島ウズベキスタン友好協会顧問であり、抑留の経験者でもある加藤金太郎氏による「新しい世代に対してナボイ劇場を作られた日本人を記念して」と題された講演も行われた。講演ではスライドを用い、ウズベキスタン政府によって建てられた日本人抑留者の記念碑が紹介された。
シンポジウムの結果、加藤九祚博士の指揮による学術連盟「オクスース」(アムダリヤ)の結成、東洋大学・奈良大学とウズベキスタン共和国のタシケント国立東洋学大学と世界経済外交大学とのパートナーシップの構築、今年11月のテルメズでの研究シンポジウム開催、さらにウズベキスタン文化・芸術フォーラム基金の援助によるE.V. ルトヴェラーゼ博士の著作「中央アジアの文明、国家ならびに文化」日本語版の出版への同意が成された。
国際シンポジウムの開催にご協力頂いた薬師寺
奈良 東大寺で芳名録に記入するウズベキスタンの考古学者ルトヴェラーゼ氏